(134)干し野菜

  電子レンジやオーブンを利用してセミドライに


 家庭で干し野菜を作る人が増えています。湿度が高いと乾きにくく、干している間にカビが生えやすいので、乾燥するこれからの季節は最適です。とはいっても、屋外で干せない方も少なくないはず。そこで、今回は電子レンジとオーブンでの加熱と室内干しを組み合わせ、保存を目的にする乾燥(フルドライ)ではなく、味の凝縮と調理前の下ごしらえを目的にした軽い乾燥状態(セミドライ)に仕上げる干し野菜作りの条件を比較しました。

   
干し野菜の調理
 

● 干し方
 厚めに皮をむいた大根を5mm厚さの輪切りにし、8枚(約180g)を1セットにしました。
 加熱しない干し方は、①ザルに重ならないように大根を広げて室温(23℃)に置く ②室温に置いて扇風機(弱)で風を当てる。放置時間はそれぞれ5時間としました。
 加熱方法は、③天板に網をのせて大根を置き、120℃のオーブンで20分加熱する ④耐熱皿にクッキングペーパーを敷いて大根をのせ、電子レンジ600Wで5分加熱する ⑤④の電子レンジ加熱後に③のオーブン加熱。それぞれ加熱後にザルに広げ、室温で1時間放置しました。


● 重量減少率
 各干し方を3回ずつ行い、干した後の大根の重量を測定して重量減少率を求め、乾燥度合を比較しました(図1)。1時間後の重量減少率はオーブン、電子レンジとも30%前後、両方を組み合わせると50%になりました。加熱なし+風なし(①)では5時間たっても20%とあまり乾燥しませんでしたが、風を当てると40%になり、風を当てることで乾燥を早めることが確認できました。


干し方と重量変化


● 調理性
 調味料のしみ込み具合を比較しました。干した大根1枚をしょうゆに10分漬けた後、色差計で表面の色を測定しました。明るさの指標からしょうゆのしみ込み程度を求めて比較すると(表1)、電子レンジや電子レンジ+オーブンがよくしみ込むことがわかりました。電子レンジで加熱することで野菜の組織が壊れたため、しみ込みやすくなったと考えられます。


干し方としみ方


● 官能評価
 研究員4名で食べ比べてみました。加熱なし+風なしとオーブンは味も食感も生とあまり変わらず、辛みも残っていました。一方、加熱なし+風ありは、わずかに甘みを感じました。
 電子レンジは加熱された大根の味がし、食感は生の張りがなくなっていました。電子レンジ+オーブンはさらにしっかり加熱された味で、甘味を強く感じ、たくあんのようなポリポリとした食感が加わって意外においしいという意見がありました。


● まとめ
 室温に放置するだけでは、それほど乾燥しませんが、風を当てると乾燥度が高まるので、扇風機やエアコンの風を上手に利用するとよいでしょう。もっと短時間で干したい場合は、オーブンや電子レンジなどの加熱調理器具を使い、加熱後に風を当てながら干してください。加熱してから干すことで、煮たり炒めたりの調理時間を短縮することもできるでしょう。
 今回は、実験のしやすさから大根を用いましたが、予備試験でトマトや果物、キノコ類などは軽く干すだけで甘みや旨味が強くなることが確認できました。切り方なども工夫して、いろいろなセミドライ野菜作りを楽しんでみてはいかがでしょうか。

(2016.12.02)


産経新聞掲載記事『比べる×調べる』

 

食品料理研究室