(128)油揚げの下ごしらえ

  煮含めるなら油抜きは必須


 行楽弁当の定番といえば「いなり寿司」。食べたときに甘辛い煮汁がじんわりとしみ出すように油揚げを煮含めることが調理のポイントです。そのためには、油揚げの油抜きが大切だといわれていますが、その方法はさまざまです。油抜きの有無による調味液のしみ込み方の違いを確認し、油抜きの方法ごとに油の抜ける量を調べました。

   
油揚げがおいしい
 

● 調味液のしみ込み方を比較
 油抜きをしない油揚げと、ゆでて油抜きをしたものを使い、いなり寿司用に煮て比較しました。鍋に油揚げを少しずつ重ねて2段に敷き込み、調味液を加え、油抜きをしないものには水を足して同重量にし、落とし蓋をして煮含めました。油抜きをしない油揚げと、ゆでて油抜きをしたものを使い、いなり寿司用に煮て比較しました。鍋に油揚げを少しずつ重ねて2段に敷き込み、調味液を加え、油抜きをしないものには水を足して同重量にし、落とし蓋をして煮含めました。  油抜きをしたものは、上段と下段に差がなく、均一にふっくらと煮上がりました。一方、油抜きをしないものは煮汁が含まらず、下段の油揚げの裏面だけに煮詰まった煮汁が付着するだけ(写真)でした。もう少し加熱を続けて水分が蒸発すると、焦げつく可能性がありました。


調味液のしみ込み方を比較


● 油抜きによって抜ける油の量
 油抜きによって調理に影響が出ることが確認できたので、次に、油抜きの方法別に抜ける油の量を測定しました。
 1枚20gの油揚げ4枚を用い、3種類の方法―①800gの熱湯で3分、箸で押さえながらゆでる ②ザルに広げて裏表に熱湯500gをかける ③キッチンペーパー1枚に油揚げ1枚をのせてペーパーごとクルクルと巻き、全体を軽く握る。開いて油揚げを裏返し、逆方向から巻いて握る。これを計4枚に行う―を検討しました。
 各油揚げの脂質含有量を測定し、3種類の油抜き方法で抜けた油の量をまとめました(図)。もっとも多く油が抜けたのは①「ゆでる」で油抜きをしない油揚げ1枚につき2.1gの油が抜けました。①「ゆでる」と比較すると、②「熱湯がけ」は40%の0.9g、③「ペーパー包み」は25%の0.5gでした。


油抜きで抜ける油の量

● まとめ
 油揚げに調味液をじっくりと煮含める場合、油抜きは大切な下ごしらえです。その手間を惜しむと均一に煮含められず、焦げつく可能性も確認できました。「熱湯がけ」「ペーパー包み」でも油を除くことができますが、「ゆでる」方法で丁寧に油を抜いてから煮含めると失敗がないでしょう。
 炒めものや味噌汁の具などに使うときは、手軽な「熱湯がけ」「ペーパー包み」の油抜きでも十分です。
 使う料理に合わせて油抜きの方法を選び、おいしく油揚げを調理してください。

(2016.09.09)


産経新聞掲載記事『比べる×調べる』

 

食品料理研究室