(113) 揚げ物の温め直し

  チン! よりも焼きがおすすめ

 油汚れが気になる、揚げ油の処理が面倒など、さまざまな理由から、自宅で揚げ物を作る人が減っています。でも、おかずの人気投票をすると、鶏のから揚げやコロッケは今も上位にランクインします。今や、揚げ物は買って食べるお惣菜といえるのでしょう。では、買ってきた冷たい揚げ物はどのように温め直すとよいのでしょうか。温め調理器具の代表といえる電子レンジと、その他の器具を使い比べてみました。

   
コロッケ
 

● 調理器具
 使用した器具は、仕上がり温度を設定できるオーブンレンジ、ガスコンロのグリル、オーブントースターです。オーブンレンジは電子レンジ機能とオーブンレンジ機能を使い分け、計4 つの加熱方法で市販コロッケ1個を温めました。


● 温め直し方法
 予備試験を行い、コロッケの中心温度が約50℃以上になればおいしく食べられると判断し、加熱条件を決定しました。
 電子レンジは、仕上がり温度を50℃に設定して皿にのせてラップなしで加熱したところ、約30秒でスイッチオフになりました。オーブンレンジは、天板に直に置いて揚げ物温めの自動モードで加熱したところ、約4分30秒でスイッチオフになりました。ガスグリルは、直接、火が当たらないようにアルミホイルに包んで6分加熱しました。オーブントースターは650Wに設定し、付属のトレーにのせて8分加熱しました。


● 温度計測結果
 各調理器具で3回繰り返して温め直したコロッケの平均中心温度は、電子レンジは設定温度よりも40℃近く高い87℃、オーブンレンジ75℃、ガスグリル57℃、オーブントースター56℃でした。
 また、コロッケの断面を赤外線サーモグラフィで撮影し、温度分布を比較しました(写真)。電子レンジは料理全体を急速に温める加熱方法ですが、外側が放熱するため中心の方が高温になっていました。電子レンジ機能を併用しながらオーブン加熱するオーブンレンジは、外側から熱が加わって放熱が防がれるため、加熱ムラが小さい点が特徴的でした。グリルとオーブントースターは外側から温まるので中心の温度は低めですが、中心がおいしい温度になるまで温めても外側が高温になりすぎることはありませんでした。


コロッケ断面の温度分布

● 仕上がりの状態
 電子レンジは、中身の水分が衣に移ってベタッとし、中身と同じような食感になっていました。オーブンレンジの衣は、電子レンジに比べると程度は低いものの、やはりしんなりしてしまいました。一方、オーブントースターは衣がサクサクして中はしっとりやわらかく、外側と内側の食感に大きな差がありました。グリルも同様でしたが、軽い焦げ目がつき、いっそう香ばしく仕上がりました。


● まとめ
 揚げ物は、外側に香ばしさとサックリ感があり、やわらか、あるいはジューシーな中身との食感の差がおいしさの決め手になります。加熱時間は少し長くなりますが、グリルやオーブントースターで焼いて温め直し、揚げ物らしい香ばしさと食感を味わってください。


(2016.01.29)

産経新聞掲載記事『比べる×調べる』

 

食品料理研究室