(90) 貝の冷凍
増えないけれど、うま味は出やすい

春は貝がおいしくなる季節。一度に購入する量も多くなりますが、どのように保存していますか? インターネットを検索すると、「冷凍すると貝のうま味が増える」という情報が多数、見受けられます。そこで、比べてみました。

●冷凍方法
アサリとシジミの殻をよく洗って水気をふき、それぞれジッパー付きポリ袋に入れて1ヶ月間冷凍保存しました。

●成分の測定
冷凍前と後の貝について、貝の代表的なうま味成分のコハク酸、遊離アラニン、遊離グルタミン酸を測定したところ、うま味成分は3種とも、冷凍後は減少していました(図)。
 ちなみに、健康効果が注目されているアサリのタウリン、シジミのオルニチンを測定したところ、タウリンは減少しましたが、オルニチンは約1.3倍に増えました。

図 : うま味成分の変化

●食味を評価
冷凍保存した貝と新たに購入した貝を使い、水から煮出した「だし汁」、塩だけで調味したモデル的な「吸い物」、煮出した後の「貝の身」について10人で評価しました。
 アサリは、だし汁、吸い物ともに冷凍品はうま味が強く、好ましいという結果に。反面、冷凍の貝の身は出しがらのようでおいしくないとした人がほとんどでした。シジミでは意見が分かれましたが、冷凍品はマイルドでおいしいという傾向がありました(表)。

表 : 食味評価結果

●まとめ
家庭の冷蔵庫でアサリとシジミを1ヶ月冷凍しても、うま味成分は増えませんでしたが、冷凍アサリのだし汁、吸い物は高評価でした。このことから、冷凍しても貝のうま味は増えないが、冷凍すると身からうま味成分が流れ出しやすくなるため、うま味を強く感じることがわかりました。
 使いきれなかった貝の保存方法として、冷凍はとても便利です。購入したら、まずは酒蒸しなどで身を味わい、冷凍したものは汁を味わう吸い物やスープ、鍋料理に使うのが理にかなった調理法でしょう。

(2015.02.27)

産経新聞掲載記事『比べる×調べる』

【関連情報】
商品研究レポート「貝の冷凍保存」(2015.03.20)
春は貝がおいしくなる季節だが一度に調理しきれず、保存しなければならないことも。そこで、家庭の冷凍庫で保存した貝のうま味について調べた。

食品料理研究室