(121) ダニが潜みやすい床の条件

 梅雨は暖かい気温に加え、湿度も高くなるので、様々な生物が活発になる季節です。ダニも梅雨時に増殖する身近な生物です。住宅の床や寝具には多くのダニが生息していますが、そのほとんどがコナヒョウヒダニというダニです。ハウスダストの中に潜み、ヒトのフケなど有機物を餌にしています。喘息やアトピーなどアレルギーの主原因であり、アレルギー患者の多くはこのダニに反応を示すことが分かっています。今回は絨毯の有無によるダニの生息密度を調べてみました。

コナヒョウヒダニ

 調査を行ったのは関東地方に所在する住宅38軒の寝室です。掃除機で床を1分間掃除してダストを集め、ダストに含まれるダニを分離しました。分離したダニは顕微鏡観察で種類を調べ、コナヒョウヒダニの数を計数しました。また、掃除をした床の絨毯の有無を記録しました。

 調査を行った38軒のうち、32軒はフローリングか畳で絨毯は無く、6軒は絨毯敷きでした。床面積1m2あたりのコナヒョウヒダニ数は、絨毯無しが平均187頭であったのに対し、絨毯敷きの床では平均796頭と多くなり、両者の間には差がありました。この理由は床の掃除のしやすさにあります。フローリングなどは表面が平滑でゴミが溜まりにくいですが、絨毯は繊維の隙間にゴミが引っ掛かり、掃除機で吸っても取り除きにくくなります。事実、1㎡あたりのダスト量にも差があり、絨毯無しの32軒は平均0.53gであったのに対し、絨毯有りの6軒では平均2.96gで、ダニと同様、絨毯有りの方が多くなりました。また、コナヒョウヒダニは暗い場所に逃げ込む性質があるため、絨毯の繊維の隙間にダニが潜り込んでしまいます。

        
1㎡あたりのコナヒョウヒダニ数

 ダニが原因のアレルギー患者の場合、ダニが発生しにくい居住環境を作り出すことで、その症状が改善することが知られています。ダニを減らす工夫には様々な方法がありますが、最も重要なのは掃除によってダストとともにダニを取り除くことです。床の素材をフローリングにすることで掃除がしやすくなり、ダニを減らすことにつながります。ダニアレルギーに悩む人は、一度、床の状態を見直してみてはいかがでしょうか。また、床に置く物を少なく掃除をしやすい状況にしておき、週2回程度は掃除をするよう心がけましょう。

(2016.06.03)

産経新聞掲載記事『比べる×調べる』

 

環境科学研究室