(7) 夏場のお弁当を安全に -保冷バッグの活用-

もうすぐ本格的な夏がやってきます。気温の上昇とともに微生物も活発になり、食中毒の発生が多くなります。毎日のお弁当にも気を使う季節でしょう。腐らせないための知恵やテクニックには様々なものがあり、これらを取り入れてお弁当作りをしている方も多いかと思います。

外出する際に、保冷剤を入れた保冷バッグで持ち運ぶこともお弁当を長持ちさせる手段の一つです。今回は保冷バッグが微生物の増殖をどの程度、抑えるのか検証してみました。腐りやすいメニューである卵焼き、生野菜のサラダを入れたお弁当を作り、①保冷バッグにお弁当を入れた場合、②室温にお弁当を置いた場合、それぞれについて7時間後の細菌数を検査しました。

細菌数を検査
細菌数を検査

室温に置いた卵焼きの細菌数は7時間で730倍に増加したのに比べ、保冷バッグに入れた卵焼きの細菌数は1.2倍の増加に抑えることができました。サラダの細菌数は室温で83倍に増加したのに比べ、保冷バッグでは1.5倍の増加に抑えられました。ご飯も同様の傾向で、室温で1400倍の増加に対し、保冷バッグでは1.5倍の増加と大きく抑えられました。このように、保冷バッグに入れた場合の細菌数にはわずかな増加しか見られず、室温に置くよりもはるかに細菌の増殖を抑えることが確認されました。

それでは、保冷バッグの内部はどのくらいの温度になっているのでしょうか?お弁当を入れた保冷バッグの中の温度を測定してみました(図)。保冷剤を入れた直後では室温とほぼ同じ温度ですが、バッグを閉じた直後から急速に温度が下がり、1時間後には15℃を下回っています。その後、7時間後まで13℃前後を保ち、安定して保冷されている様子が分ります。

食品を腐敗させる細菌の多くは、温度によって増殖速度が左右されます。30℃超えるような環境下では増殖が非常に速いですが、10℃前後では増殖が遅くなります。温度をコントロールすることは、お弁当の衛生状態を良好に保つ上で大きなポイントになると言えるでしょう。また、調理時に器具や手を清潔にする、腐りにくい食材を選択することなど、基本的な衛生管理にも併せて気を遣うことで、より効果が期待できます。

長時間お弁当を持ち歩く際などには、「保冷バッグを利用する」これが賢い安心の習慣です。

(2013.6.14)

産経新聞掲載記事『比べる×調べる』

 

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環境科学研究室