(109) リップケア

 冬に向け、体のあちこちの乾燥が悩ましい季節になってきました。中でも唇は他の皮膚に比べ、角質層が薄く、皮脂腺もないため、水分が蒸発しやすく、特にあれやすい部位です。すでにガサガサしたり、ひび割れたりしている人も多いのではないでしょうか。そこで今回はリップケアのお話です。

 唇のあれを防ぐには失われる水分を油分で抑えることが効果的です。唇に塗る油分と言えば、リップクリームや口紅ですね。これらについて水分の蒸発をどのくらい抑えることができるのか評価しました。

 写真は丸餅に同量のリップクリーム、口紅を塗り、室温で一日おいたものです。無塗布は丸餅の表面が大きくひび割れ、めくり上がった状態に。口紅も全体に細かいひびが入りましたが、無塗布のようなぱっくりと割れた状態まではなりませんでした。リップクリームは目視では変化がわからず、開始時とほぼ同じ状態を保つことができました。唇ではここまで大きな変化は起きないかと思いますが、リップクリームと口紅がいかに水分蒸発を抑えることができるか、写真を見るだけでもわかるかと思います。

丸餅表面の変化

 次にリップクリームと口紅をタイプ別に評価しました。リップクリームはスティック、チューブ、ジャーの3タイプ。口紅は一般的なスティック形状のものとリキッドルージュの2タイプを使用しました。ビーカーに水を入れ、同量のリップクリームまたは口紅を塗布した不織布で口を塞ぎ、同じ時間放置しました。前後の重量を測定し、何も塗らなかった場合の蒸発量を100としてグラフに表わしました。グラフが短い、つまり数値が小さくなるほど水分が逃げにくいことが示唆されます。

    
水分蒸発量

 リップクリーム、口紅ともに無塗布に比べ、大幅に蒸発を抑えることができました。今回の評価に使用した口紅ではタイプによる大きな差はなく、いずれも4割程度蒸発量が減少しました。リップクリームはスティック、ジャーが同程度の6割減。チューブタイプはこれらより少し劣る結果に。とは言え、しっかり蒸発を抑えています。

 リップクリームも口紅もタイプの差は気にせず、自分の好みで形状を選んで問題なさそうです。これからの季節、口紅だけだと乾燥を感じるようなら、先にリップクリームを塗るようにしましょう。乾きにくくなるだけでなく、口紅の滑りもよくなります。今からしっかり対策して、冬でもうるうるの唇を目指しましょう。

(2015.11.20)



産経新聞掲載記事『比べる×調べる』

 

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