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フランスベッド
ハンドル形電動車いす「スマートパル ライト」

2017.07.22

最新記事買い物など高齢者の社会参加アシスト

 今年4月から全国の各市町村で「介護予防・日常生活支援総合事業」のサービスがスタートした。高齢者が要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしができるように、市町村が中心になって、地域包括ケアシステムの構築を目指すものだ。今回の「これは優れモノ」は、高齢者の社会参加をサポートする介護製品を取材した。 「買い物難民の高齢者の手助けをしたいというのが端緒でした」と話すのは、フランスベッド商品開発部の大山啓さん(51)。大山さんは入社以来、介護用の電動ベッドなどの商品開発に携わってきた。

電動車いす

福祉用具製造に注力

 同社では、高齢化社会に対応して福祉用具の製造やレンタルにも力を入れている。2010年にはリハテックというブランドを立ち上げ、アクティブシニア向けに健康関連ツールの提供を始めた。
 大山さんは介護用品の開発に携わる中で「健常者とされる高齢者でも日常生活を楽にできる器具の必要性を感じた」と話す。そのリハテックブランド第一弾となったのが、電動アシストのついた三輪自転車だった。すでに他の自転車メーカーから同種の自転車が出ていたが、あえて自社で設計・開発した。
 「他社では、大きい荷物を運ぶための三輪自転車でしたが、当社では最初から二輪の自転車に乗れない高齢者を念頭においていました」(大山さん)。
 全国各地の家具販売店で試乗会を開催するなど地道なマーケティング活動を展開した。これが、日々の買い物に困難を感じていた高齢者などに目に触れ、大当たり。この反響の大きさから他社も追随し、三輪自転車マーケットという新たなカテゴリーが生まれたという。三輪自転車は安定性もよく、重い荷物を積んでもふらつかないなど多くの利点がある。一方で、ある程度のバランス感覚も必要になる。「もともと自転車に乗れないと、三輪でも難しいと感じる人もいました」と大山さん。新たな電動車いすを開発する原動力になった。

三輪でも安定感

 安定性の高い四輪タイプの電動車いすも作っていたが、女性からは買い物の荷物を入れるところが少ない、取り回しが悪く、ごついという声もあった。そこで2014年に三輪自転車の軽快性と四輪の電動車いすの安定感を取り入れたハンドル形電動車いす「スマートパル」を発表した。
 スクーターのようにステップに両脚をそろえて乗るバッテリー駆動の三輪の乗り物。いすの部分は車いすのように背もたれと肘掛がついているので、体でバランスをとる必要もない“優れモノ”だった。
 しかし、大山さんら商品開発部隊の開発魂に終わりはない。今年6月中旬から新たに投入したのが、「スマートパル」を軽量化した「スマートパルライト」だ。重量は47kgと、先行モデルに比べ17kg軽くなった。バッテリーは取り外しができ、専用のアダプタを通じて自宅のコンセントから充電ができる。1回の充電で12kmの走行が可能という。
 「お客さまにとって、三輪の商品を選ぶ選択肢が増え、喜ばれています」と大山さんは確かな手ごたえを感じている。

interviewフランスベッド 商品開発部 大山 啓 氏

介護が必要な人の視点で開発

自社開発にこだわった理由は

 介護ベッド製造のほか、介護用品のレンタル事業行っており、使う人の視点にたった製品開発が必要と考えた。企画・設計・開発は当社が行い、協力企業に製造を委託するという方式。三輪自転車に関しては、数多くの自転車メーカーの製造拠点である台湾の協力企業にをお願いし、最終組立を自社国内工場で行っています。三輪電動車いすのスマートパルライトについては、当社の国内工場で製造しています。

開発には苦労した

 三輪自転車を作った際のノウハウを生かすことができました。傾斜のある道路を走った際に倒れにくいとか、坂道でも安全に走行できる工夫など試行錯誤を繰り返しました。 6月から発売したスマートパルライトは、先行モデルの使い勝手にさらに磨きをかけました。ハンドルを楕円の形にして、握りやすく、操作性を向上させたほか、軽量化で取り回しを良くしたりしました。

運転方法は

 ハンドル中央の楕円形の操作パネルの左右から延びている走行レバーを指で引くことで前進・後進ができます。右側を手前に引くと前に進み、左側を引くと後ろに進みます。レバーから指を離せば自動的に止まるのでブレーキをかける必要はありません。最高速度は早歩き程度の時速6キロ。速度もつまみで低速・中速・高速の指定ができます。また、転倒予防のため前後左右に傾くと警告音が鳴る仕組み。座席も真横に回転するので、乗り降りもスムーズにできるほか、5キロまでの荷物をかごに積むことができます。

海外での販売は

国内マーケットの掘り起こしに重点を置いています。電動の車いすは、国内の自動車メーカーなどでも製造しており、高齢化社会を迎えて、競争も激しくなることが予想されています。介護用品の製造で培ったノウハウを利用者の心をつかむ商品作りに生かしたいと考えています。

フジサンケイ ビジネスアイ掲載記事・これは優れモノ



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